WETスーツとDRYスーツの違い、その使用時期

ダイビングハック

快適なダイビングが出来るか否かを分ける要因の一つに、適切なスーツ選びが出来ているかどうか?があります。今回は、WETスーツとDRYスーツの違いや、それらの使用時期に関してのお話をさせてもらいます。

そもそもどうしてスーツが必要なの?

まず、そもそもダイビングではどうしてスーツが必要なのか?というところから話を始めさせてもらいます。結論から先に言うと、水中で行うダイビングは安全に楽しく潜る為には、「保温」に特に気を配る必要があるからです。ダイビング中、ダイバーの周りにあるのは空気ではなく水です。その水が、空気に比べて24倍も熱を伝導する、という性質を持っています。25℃に保たれた部屋の中で長時間いても何の問題も起きないと思います。むしろ快適ですよね。しかし、25℃の水中に長時間いると、体温はみるみる奪われて、ことによっては命にかかわる問題にもなるんです。その逆を考えてみてもわかりやすいかもしれません。サウナなどに入ると室内は90℃とかあったりします。暑いなあ、と思うでしょうが、特別な問題は起きないと思います。しかし90℃の熱湯の中に入ったら大変なことになります。これも理由は同じで、24倍も熱が伝わってくるからです。だから、安全で快適なダイビングをするために、どうしてもスーツが必要になります。また、水中には岩、サンゴ、その他クラゲなど、人間の肌があたってしまうとけがをしてしまうものが色々あります。それらから身を守るためにもスーツは必要です。つまり、スーツ着用の目的は「保温」と「保護」なんです。

保温が良くできるwetスーツとできないwetスーツの違い

wetスーツを着れば必ずしも保温ができる、というわけではないんです。結論から言うと、あまりにサイズの合わない、がばがばのサイズのwetスーツを着用しても、あまり保温ができている、とは言えません。首や手首、足首といったところから、常に新しい海水がスーツ内に入ってくることになります。すると絶えず体温は奪われ続けます。逆に、体にフィットしたwetスーツはよく保温ができます。こういうスーツを着用している場合には、スーツ内に一度海水が入ってくると、なかなかそれらの海水は外に出ていかないし、新しい海水もスーツ内に入ってきません。すると、潜り始めて数分後には、「温水膜」といわれる体温にほど近い海水の膜がスーツ内に出来上がり、それはダイビング中ずっと続くので、あたたかなダイビングが可能になります。
出来る限り自分の体形に合ったスーツを選びましょう、と言われる理由はこれです。

一方ドライスーツの保温はもっとすごい

ドライスーツはwetスーツとは比べ物にならないくらい、保温力が高いです。その理由は簡単で、「そもそも海水に肌が触れないから」です。いくら空気に比べて24倍も熱を奪う性質を持っている水がそこにあっても、それに直接触れていないのだからもっともな話です。
プールの授業の後ってどうしても眠くなりませんでしたか?人体にとって、体温が奪われないようにすることはとてもエネルギーを使うものなんです。Wetスーツでダイビングをした後は同じように眠くなります。疲れたな、と思います。一方ドライスーツは全然疲労感が違います。眠くもなりにくいです。

wetスーツとdryスーツの違い

違いは色々ありますが、体が水にぬれる、濡れないダイビング後に疲労感が高い、低い、等といったことがその違いになります。ここまで話を聞くと、ドライスーツの方が絶対に良い、と思うかもしれませんが、そうでもありません。ドライスーツは、wetスーツに比べて、必要になるウェイト量も多くなります。水中での水の抵抗も大きくなります。その結果、wetスーツに比べて、水中で機敏に動けなくなる、ということもあります。流れの速いスポットでダイビングをする際には、絶対にwetスーツでのダイビングの方が快適です。気温、水温、流れの強さ、ダイビングの目的、などに応じて、適切なスーツ選びができるようになると良いです。

水温の目安

どちらのスーツを選ぶか、水温での目安は一般的に22℃といわれます。22℃より水温が高ければwetスーツ、22℃より水温が低ければdryスーツということです。水温だけで考えるなら、伊豆であれば、7月の後半から11月くらいまでがwetスーツの時期、それ以外はdryスーツの時期、となります。

気温の目安

ダイビング後に寒いと感じてしまうならdryスーツ、そうでないならwetスーツです。気温だけで考えるなら、5月くらいから9月くらいまでがwetスーツ、それ以外の時期がdryスーツの時期、ということになります。

悩ましい時期

6月や7月の初旬、10月などはとても悩ましい時期になります。6月や7月の初旬は陸上がとても暖かい日が多いです。むしろ、季節外れの猛暑日などもあるかと思います。この時期にドライスーツを来たら、ダイビング前に汗だくになってしまいそうです。その意味ではwetスーツを使いたくなります。しかし、水中に入ってみると寒いんです。水温は陸上の2~3か月遅れ、なんて言われます。

10月はその逆です。水温はまだ25℃くらいです。Wetスーツで潜っていても全く寒くありません。しかし、ダイビングが終わり、陸上に上がると、日によってはかなり涼しい風が吹いていたりします。寒くて休憩どころではないかもしれません。

時期によってスーツの選択は自由ですが・・・

ドライスーツは一年中使用が可能です。スーツ内に着用しているインナーによって温かさをコントロールしているからです。たとえ、真夏の太陽が元気に照らしている8月でも、インナーをTシャツにして、潜る直前にスーツを着る、陸に上がったら速やかにスーツを脱ぐ、ということができれば、快適なダイビングができます。ちなみに宇佐美DCの常勤スタッフはこの方法を採用しています。連日ダイビングをすることも考えると、疲労の少ないこの方法が最もサービスに適している、と考えているからです。

一般的な目安としては、7,8,9月はWETスーツ、それ以外はドライスーツです。後はその日の気温、天気、ダイビング内容によってどちらのスーツにするのかを決めれば良いです。悩ましい時期などは、海に来てから、どちらのスーツも選べるように両方準備しておくと、せっかくのダイビングがスーツ選びの失敗が原因で台無しになってしまった、なんていうことがなくなります。

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