減圧症って何?どうすればよいの?<前半>

ダイビングハック

ダイビングに特有の症状・・・減圧症とは

登山に「高山病」というものがあるように、ダイビングには「減圧症」という特有の怖い症状があります。この記事は、減圧症って何?どうしてダイバーはダイビングコンピューターを使っているの?講習で習ったけど、わかるようで分からなかった、今更聞けない、そんな方たちに読んでほしい内容となっています。

まず、減圧症の症状を先に紹介します。
ダイビングが終わって、陸上に上がって、早い場合にはすぐに、多くの場合は1,2時間以内に症状が出てきます。症状としては、めまい、強い疲労感、関節などの痛み、手足のしびれ、ろれつが回らなくなる、吐き気、呼吸困難、意識の喪失、などです。本当に重篤な場合は後遺症が残ったり、場合によっては死亡に至るケースもあります。

何が原因?わかりやすく説明します

減圧症の原因を説明するためには、ダイビング特有の「圧力変化」という話が必要です。難しく考える必要はありません。深く潜れば潜るほど、通常よりもギュッと圧縮された空気をダイバーは呼吸することになる、という事だけわかればまずは大丈夫です。ちなみに、水面を1とすると、10m潜れば、2分の1に、20mに潜れば3分の1に、30m潜れば4分の1に圧縮された空気を吸い込んでいることになります。深く潜れば潜るほど、ギュッと凝縮された濃い空気を吸い込むことになるんですね。

空気の組成はおよそ20%が酸素、残りの80%が窒素です。ここで仮に30mに1時間滞在した場合の話をします。水深30m地点にいると、4倍に圧縮された空気をダイバーは吸い込みます。酸素も窒素も4分の1の大きさに圧縮されています。そこで呼吸をするたびに、小さく圧縮された窒素達が、ダイバーの体の中の組織(それは筋肉だったり、骨だったり、血管だったり、脂肪だったりします)の中に排出されずに溶け込んでいくことになるんです。少しの量が溶け込んだなら問題はありません。問題があるのは、大量に溶け込ませてしまった場合です。そういう場合には、ダイバーがダイビングを終え、水面に向かって浮上していく際に困ったことが起きてしまいます。

ここで連想して頂きたいのは、水面に向かって上がっていく泡の大きさの変化です。深い方から水面に向かって泡が上がって行くと、だんだん泡が大きくなっていくことがイメージできないでしょうか?これと同じことが、溶け込んでいた窒素たちに起こるんです。その際に、大量に窒素が溶け込んでいた場合には、もうこれ以上溶け込んでいられなくなった大きくなるとともに組織からあふれてしまいます。中には血流に乗って全身を巡り、時には血管に詰まってしまう(梗塞が起きる)こともあります。

その結果が、しびれ、と考えればイメージがしやすいのではないでしょうか?脳の血管が詰まってしまって、めまいやろれつが回らない、という症状が出ることもイメージがわきやすいと思います。とても怖いです。

減圧症になってしまった場合はどうするの?

減圧症になってしまったら、減圧症の治療ができる病院に緊急搬送されることになります。病院では、再圧治療、といわれる処置が行われます。減圧症になったダイバーの体に再び圧力をかけて、大きくなってしまった気泡を小さくします。そのうえで、呼吸を続けて少しずつ体内に溜まってしまった窒素を体外に排出する、というのが再圧治療です。

ここで大切なのは、減圧症はいかに速く再圧治療を始めるか、ということです。血流が阻害された状態が少しでも速く解消されないと、後々に後遺症が残ってしまう可能性が高くなるからです。減圧症の可能性が疑われた場合には、必ず医療機関に連絡をとってください。

本当に大切なのは予防

さらに、本当に大切なのは、そもそも減圧症にならないようにすることです。そのために何をすればよいのかは、後半の記事でお話いたします。

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